ボルドー地方のワインは大きく分けて5つの産地があり、さまざまな種類のAOCワインが造られています。
●メドック(Medoc)、グラーヴ(Graves)のボルドーワイン
ジロンド河口とガロンヌ河の左岸に沿った、130キロメートルにわたる細長い土地は、粘土層、石灰層そして砂土層から成り、その表面は丸い小石で覆われています。だからこそ、高貴なぶどう品種であるカベルネやメルロ種がその能力を遺憾なく発揮します。
ここには、メドック(Medoc)、オー・メドック(Haut Medoc)、サン・テステフ(Saint-Estephe)、ポイヤック(Pauillac)、サン・ジュリアン(Saint-Julien)、ムーリ(Moulis)、リストラック・メドック(Listrac-Medoc)、マルゴー(Margaux)、グラーヴ(Graves)、ペサック・レオニャン(Pessac-Leognan)のAOCワインがあり、これらはしっかりした堅固さをもち、それでいて重くない性格を持ったワインです。
◎メドック(Medoc)→上記の中では最も軽いワインで、若いうちに飲めるワインです。
◎オー・メドック(Haut Medoc)→この地域では、この名のAOCワインの他に、以下の格の高い4つのコミューン(村名付き)AOCワインと2つの独立AOCがあります。
メドックのワインは、樫の木の樽の中に数年寝かされ、そこで清澄作業も行われます。樽材とタンニンとの接触で、ヴァニラの微妙な香りが与えられます。このワインは長く保存でき、年月が経つとと共に瓶内で熟成し、段々と美味しくなっていきます。
◎グラーヴ(Graves)でのAOCワイン産地は、ちょうどメドックの延長線上にあり、ボルドー市の南60キロメートルにわたっています。赤と白の割合は55:45となっています。赤はメドックものに比べると穏やかで、香りがスパイシーなのが特徴です。白ワインはボルドーの辛口白ワインの代名詞にもなっています。また、赤ワインの最良の産地にペサック・レオニャン(Pessac-Leognan)のものが挙げられます。
●リブルネ地域:サン・テミリオンとその隣接地区のボルドーワイン
リブルネ地域には次のAOCワインがあります。
サン・テミリオン(Saint-Emilion)、モンターニュ・サン・テミリオン(Montagne-Saint-Emilion)、リュサック・サン・テミリオン(Lussac-Saint-Emilion)、ピュイスガン・サン・テミリオン(Puisseguin-Saint-Emilion)、(パルサック・サン・テミリオン
Parsac-Saint-Emilion、サン・ジョルジュ・サン・テミリオン Saint-Georges-Saint-Emilion のAOCは、モンターニュ・サン・テミリオンAOCに入れることも、別に名乗ることもあります。)そしてポムロール(Pomerol)、ラランド・ド・ポムロール(Lalande
de Pomerol)、フロンサック(Fronsac)、キャノン・フロンサック(Canon-Fronsac)があります。
サン・テミリオンのぶどう畑は赤ワインしか産出しません。ここのワインは力強く、トリュフを思わせる香りで、濃いガーネットの色合いを持っています。優雅に年を経て、いわば従兄弟にあたるメドックのワインよりも早く開花します。
ポムロールのワインも赤のみで、力強くコクがあり、ビロードのようななめらかさをもち、特異な風味があります。またこのワインはエレガントに熟成することで定評があります。
●コート・ド・ボルドー、ボルドー、ボルドー・シュペリュールのボルドーワイン
あまり知られてはいませんが、適正価格で品質のよい”コート”の赤ワインの産地には次のAOCがあります。
コート・ド・ブール(Cotes de Bourg)、プルミエール・コート・ド・ブライ(Premieres Cotes de
Blaye)、コート・ド・カスティヨン(Cotes de Castillon)、プルミエール・コート・ド・ボルドー(Premieres
Cotes de Bordeaux)、グラーヴ・ド・ヴェイル(Graves de Vayres)、ボルドー・コート・ド・フラン(Bordeaux
Cotes de Francs)です。これらの生産地域は、一部にまとまっているわけではなく、ガロンヌ河やドルドーニュ河の右岸とジロンド河の河口に点在しています。
コート・ド・ブライとグラーヴ・ド・ヴェイルでは、辛口でフルーティー、高い芳香の白ワインが作られています。
ボルドーとボルドー・シュペリュールでは、タンニンが豊富で軽くてバランスの取れた赤ワインが、また若いうちに飲む辛口の白ワインの新鮮でフルーティーさを愛でる愛好家がたくさん居られます。
●グラーヴ、アントル・ドゥー・メール、コート・ド・ブライのボルドーワイン
この地域の白ワインは辛口で、貝類や魚料理によく合います。またアペリティフに飲んでもおいしく頂けます。
◎グラーヴ(Graves)
ここの白ワインは繊細なブーケがあり、生き生きとした風味を持っています。
◎アントル・ドゥ・メール(Entre-Deux-Mers)
この産地はガロンヌ河とドルドーニュ河に挟まれた、丘と谷ののどかな地方で産出されます。柔らかさと活気、そのボディーとフルーティーさがそれぞれ調和し、他に類を見ない新鮮な味わいを持っています。
◎コート・ド・ブライ(Cotes de Blaye)
この地域では常に辛口白ワインを造っています。生き生きとしてすっきりとした味わいはこの産地ならではの風味と言えます。
●甘口白ワインの生産地区、ソーテルヌ、バルザックのボルドーワイン
グラーヴに囲まれた、セロンの南、ガロンヌ河が流れるソーテルヌ地域では、世界的に有名な、偉大なる甘口白ワインであるソーテルヌ(Sauternes)が産出されます。この地域には5つのコミューンがあります。ソーテルヌ(Sauternes)、バルサック(Barsac)、ボンム(Bommes)、プレイニャック(Preignac)、ファルグ(Fargues)がそれで、そのうちバルサックは固有のAOC名のバルサック(Barsac)を名乗ることができます。また近隣のAOCとしては、セロン(Cerons)、サント・クロワ・デュ・モン(Sainte-Croix-du-Mont)、ルーピアック(Loupiac)、カディヤック(Cadillac)そして、プルミエール・コート・ド・ボルドー(Premieres
Cotes de Bordeaux)があります。
この甘口の白ワインは、この地域の非常に特殊な土壌から年間15万ヘクトリットルが産出されます。
暑くて適度に湿気のある気候のおかげで、ぶどうは収穫時に微小な菌で表面がフェルト状に覆われます(その菌をボティリティス・シネレアと言います)。この菌は、繁殖しながらぶどうの皮を通して、水分を吸収蒸発させ酸度を低下させます。そのぶどうは摘まれたときからアルコール13度に相当する糖分が含まれ、18度潜在アルコールに達します。
ソーテルヌは、若いうちに飲むとフルーティーで生き生きとしており、そのあとに、なめらかさと血筋の良さとボディーが広がり、独特の味わいとなります。良いヴィンテージのものは、何十年という長い熟成にも耐える力強さを持っています。
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